株式会社THINKING

ショッピングセンター・専門店でのクレーム対応の事例

コラム 2019年6月19日

クレーム対応は社員・アルバイトの離職率につながる

教育研修の仕事をしていて、お客さまから要望の多い研修テーマの一つがクレーム対応です。

数年前までのクレーム対応研修は「どうしたらクレームのお客様に更なる不満を与えないよう、満足して頂く対応をするか」「クレームを防止するには」「顧客満足に繋げるクレーム対応」などが、目的やポイントの研修でした。

しかし、昨今は、無理な要求をするお客さまやカスタマーハラスメント(嫌がらせ)の増加などにより、「悪質クレームへの対応法」が要望の多いテーマになっています。

その背景には、お客さまからのクレームが元で退職するスタッフが増えている現状があります。

店舗スタッフのパート・アルバイト比率の高まりや人員不足、新規採用が難しいことも相まって、せっかく採用したスタッフをクレーム対応で辞めさせたくないのが店舗の実情です。店舗でのクレーム対応は、クレームの原因・非が店舗側なのか、お客さま側なのかに関係なく、クレームのお客さまは、直ぐに店長や本部に取り次ぐ、怖い場合は直ぐに警備に取り次ぐとう会社・店舗も増加しています。

法的な知識を持って適切に対応すればクレームは怖くない

もちろん、クレームの原因で一番多いのは、店舗スタッフの対応に不足がある、商品・サービスに不備・欠陥があるなどの店舗・会社側の落ち度です。

そこで、今回は法的な根拠を踏まえたクレーム対応法(監修:弁護士:高宮隆吉)とクレームの予防法を、ファッション店舗、食品店舗、飲食店舗、サービス店舗における事例をもとに、連載していきたいと思います。

法律をタテにとって対応をすることで、一層お客さまを激怒させ、関係悪化を招く恐れがありますが、法的知識があることで、クレームを必要以上に恐れることなく、冷静に毅然として対応することが可能になります。

現場で活躍する店長・スタッフの皆様のお役に立てれば幸いです。

 

第1回:クレーム対応 物販編 【返品交換について】

未使用品から使用品、返品不可商品、破損商品など…返品にまつわるクレームほか

事例1:未使用の商品に対するクレーム・返品交換要望

内容

お客様が気に入られて購入された商品を、「同じような洋服があったので交換してくれない?」と言って持って来られました。

■返品交換は受けなければならないのでしょうか?

法的解釈

売買契約は、正常な品物と代金を交換して完了です。実は、それ以上の返品に関する規約はありません。
(民法545条 解除の規定)

予防法

売買契約は正常な品物と代金を交換して完了です。実は、それ以上の返品に関する規約はありません。返品に応じる義務はなく法律的根拠もありません。大抵のお客様は訪問販売法のクーリング・オフ制度を間違って認識している方が多いようです(特定商取引に関する法律第9条「訪問販売」書面受領日から8日以内の返品は可」)が、店頭販売には適応されません。

★ただし、サービスと考えて任意で返品交換を受けることが日常化しています。お客様に満足して頂き、店舗への信頼を勝ち取り次の商売に繋がると考えて受けることも多いのが現状です。

 

事例2:セール品(返品交換お断り商品)に対する返品交換要望

内容

セール商品で「セール品の返品はお断り・・・」とPOPで告知していたにも関わらず、「サイズが合わなかったので返品」と来店されました。

■返品は受けなければならないのでしょうか?

法的解釈

事例1と同様にPOPの告知には関係なく、基本的に返品を受ける必要はありません。
(民法545条 解除の規定)ただし、商品がキズものであった場合はプロパー商品・セール商品に関係なく返品交換を受ける義務が発生します。 
(民法570条 瑕疵担保責任)(民法415条 債務不履行)

予防法

セール商品でフィッティングをせずに購入される場合など、サイズが合わないという事での返品交換がないよう、お客様に返品できない旨をレジ応対の際に「ご試着は?」と試着をお勧めすること、「商品の返品は出来ませんがよろしいでしょうか?」と再確認をするようにすると親切です。

 

事例3:補修商品に対するクレーム・返品交換要望

内容

お直しした商品(丈つめしたパンツ)の「丈が短い」と返品に来られました。 店としてはピン打ちした通りに丈つめをしたつもりです。

■返品は受けなければならないのでしょうか?

法的解釈

お客様が求めているサイズの直しが出来ていないということですから、お直しミスの場合は返品を受けなければならないでしょう。
(民法415条 債務不履行)
(民法 95条 錯誤) 

ただし、生地やデザインなどの違いにより誤差が生じることを販売員が伝えたにも関わらず、お客様が試着せず「いつものように・・・」などと確認をされずに依頼された場合などは、返品の要求に応える義務は生じないでしょう。

予防法

ピン打ちをする際に必ずウエストの位置「ウエストの位置はよろしいでしょうか?」や姿勢「正面を向いて」などの確認をしてピン打ちをすること。ピン打ちだけでなく、メジャーで測り「〇cmですね」「左〇cm・右〇cmですが・・・よろしいでしょうか」などと必ず確認をとります。

 

事例4:破損商品に対するクレーム・返品交換要望

内容

購入された「商品が破損をしていた」と言って翌日お客様が返品に来られました。

■返品には応じる義務はあるのでしょうか?

法的解釈

お客様が事前に発見できない状態で後に破損が発見された場合は、返品に応じる義務があります。ただし、返品に応じる義務は瑕疵の発足から一年以内です。
(民法570条、566条3項 瑕疵担保責任)

予防法

会計時に商品の状態を確認して頂き包装してお渡しするようにします。サンプル品を見せて実際は在庫(箱の中の商品)をお渡しする時にも、必ず一度箱から出して確認をして頂くようにしましょう。 「恐れ入りますが、ご確認をお願い致します」

 

事例5:使用された商品に対するクレーム・返品交換要望

内容

明らかに何度も着用された、あるいは使われたと分かる商品を「サイズが合わない・・・」と返品に来られました。

■返品は受けなければならないのでしょうか?

法的解釈

売買契約は、正常な品物と代金を交換して完了です。返品に関する規約はありません。
(民法545条 解除の規定)

予防法

ただし、接客中にお客様からサイズが小さい(あるいは大きい)との言葉があったにも関わらず、「大丈夫です」と言ってお勧めし、無理に販売した場合は返品を受ける必要はあるでしょう。必ず適正なサイズを提案・お勧めします。

 

【クレーム対応についてのコラム 今後の予定】

第2回:クレーム対応 物販編 【お客様による損害に対して】

第3回:クレーム対応 物販編 【その他のトラブル】

第4回:クレーム対応 飲食編 【返金・損害賠償について】

第5回:クレーム対応 飲食編 【その他のトラブル】

第6回:クレーム対応 食品編 【返品交換について】

第7回:クレーム対応 その他サービス編